こんにちは、行政書士の越阪部です。
今回は、「中小企業活性化パッケージNEXT」について紹介させて頂きます。
「中小企業活性化パッケージNEXT」って何?という方も多いと思います。
元々22年3月に「中小企業活性化パッケージ」という政府の施策パッケージが発表され、
それに基づいて中小企業支援が行われていました。
その後、「中小企業活性化パッケージ」は今年の9月に更新され、
今後の中小企業支援策が打ち出されました。それが「中小企業活性化パッケージNEXT」です。
概要
中小企業活性化パッケージNEXTで打ち出されたもののうち、
中小企業の皆様にとって大事なのは以下の2つです。
1.ポストコロナに向けた段階的移行
2.コロナ資金繰り支援等の継続・拡充
それぞれ順を追って説明していきます。
1.ポストコロナに向けた段階的移行
①伴走支援型特別保証の拡充
「伴走支援型特別保証制度」とは、
「金融機関が中小企業者に対し継続的な伴走支援をすることを条件に、
信用保証料の事業者負担を引き下げる制度」です。
今もこの制度はあるのですが、今後も継続・拡充されることが打ち出されました。
拡充内容は、【融資限度額の引き上げ(6,000万円→1億円)】です。
これを活用すれば、民間金融機関から借り入れをする際に、
保証協会への信用保証料が0.2%まで下がります。(補助前は原則として0.85%)
この制度を使うには「経営行動計画書」を作成して、
四半期に1度ペースで金融機関の伴走支援を受けることになりますが、
信用保証料を大幅に抑えることができるのでオススメです。
さらに、以下2つの要件を満たせば、経営者保証免除で借入することもできるので、
「借入したいけど経営者保証は嫌・・・」という方にも使い勝手の良い制度です。
・直近の決算で資産超過であること
・法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されていること
②日本公庫のコロナ貸付の段階的移行
日本政策金融公庫の低利・無担保融資の継続・拡充が打ち出されました。
継続・拡充の内容は以下の通りです。
・貸付限度額の引き上げ【3億円 → 4億円】
・コロナ貸付の期限延長【9月末 → 2023年3月末まで】
・低金利融資の貸付期間【3年間 → 5年間】
ちなみに、コロナ貸付と言えば「無利子無担保では?」と思われる方もいるかもしれません。
これまでは、公庫の低利・無担保の融資に加えて「利子補給」という制度があり、
実質無利子無担保で融資を受けられていました。
しかし、「利子補給」は9月末で終了したため、実質無利子の融資は無くなりました。
無利子ではないものの、低利・無担保の融資は3月末まで継続するということで、
ポストコロナに向けた段階的な対応が打ち出されました。
2.コロナ資金繰り支援等の継続・拡充
①セーフティネット保証4号の期限延長【9月末→12月末まで】
セーフティネット保証4号とは、自然災害等の突発的事由により
売上高等が減少している中小企業・小規模事業者の資金繰り支援措置として、
信用保証協会が一般保証とは別枠で融資額の100%(上限2.8億円)を保証する制度です。
現在、新型コロナウイルス感染症対策として、
47都道府県すべてにセーフティネット保証4号が発動されていますが、この期間が延長されます。
②セーフティネット貸付(物価高騰対策)の金利引下げ期限延長【9月末→12月末まで】
セーフティネット貸付とは、「社会・経済的環境の変化等外的要因により一時的に売上の減少等業況悪化をきたしているが、中長期的にはその業況が回復し発展することが見込まれる方」が使える融資制度のことです。
昨今の物価高騰の影響を受けた事業者は、
セーフティネット貸付を利用する際に金利が0.4%引き下げられる特例がありましたが、
その期間が9月末から12月末まで延長となりました。
③借換保証など、中小企業の返済負担軽減策の検討
まだ具体的な制度設計が決まったわけではありませんが、コロナ融資の借換保証などの検討がされているようです。
コロナ融資の返済がピークとなる頃までに、返済負担軽減策が打ち出されるようです。今後の動向を要チェックです。
④事業者の資金繰り支援等のための金融機関等への要請
これを受けて、経済産業省から金融機関に対し、以下の要請がなされました。
- 事業者の業況を積極的に把握し、資金繰り相談に丁寧に対応するなど、事業者のニーズに応じて、事業者に最大限寄り添ったきめ細かな支援を引き続き徹底すること。
- 既往債務の条件変更や借換等について、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応の継続すること。
- 実質無利子融資及び新型コロナウイルス感染症に関する事案に係る危機対応業務による融資を実施する金融機関においては、当該融資が本年9月末に申込期限を迎えることを踏まえ、顧客への周知や、駆け込みの申込みに対応可能な態勢整備に万全を期すこと。
- ポストコロナに向けた設備投資資金などについて、保証限度額が拡充された伴走支援型特別保証や、上限額が引き上げられた日本政策金融公庫等によるスーパー低利・無担保融資を活用すること。
- 官民金融機関、信用保証協会、中小企業活性化協議会、REVIC等の支援機関が密に連携し、「中小企業活性化パッケージNEXT」に掲げられた施策を活用すること。
- REVIC等が出資するファンド等の組成・活用について真摯に検討すること。
まとめ
いかがだったでしょうか。
無利子の融資は9月末で終了ではありますが、
伴走支援型特別保証や公庫のコロナ融資は融資限度額が引き上げられるなど拡充が行われたので、
ぜひこの機会に活用してください。
借換保証など、今後の制度の動きがありましたらメールマガジンで取り上げていきますので、
ぜひチェック頂ければと思います!