こんにちは!行政書士の越阪部です。
今回は「創業融資の返済期間・据置期間」について紹介していきます。
これから創業融資を受けようと思っている方には役立つ情報だと思うので、
ぜひご参考になれば幸いです。
創業融資の返済期間
創業融資の返済期間は、申し込む事業者ごとに個別に設定されます。
期間は制度上の上限があり、その中で返済能力や保全等を考慮しながら決めていきます。
例えば、公庫の「新規開業資金」を使って借入する場合の返済期間は
- 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)
- 運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)
となります。
公庫で代表的な「新創業融資制度」を使うときは、
「新規開業資金」とセットで使われることが多いのですが、その場合には上述の返済期間が適用されます。
ただ、この返済期間はあくまでも制度上の上限となります。
実際に20年フルで借りるということはあまり多くありません。
実際のところは、設備資金で5~10年、運転資金で5~7年程度で設定されることがほとんどです。
返済期間の決め方
返済期間については、申込者が希望を伝えることになります。
もちろん必ず希望が通るわけではありませんが、一応は要望を伝えられます。
返済期間については、
- 長いと毎回の返済額は低く抑えられるものの、利息の支払い総額が高くなる
- 短いと毎回の返済額が高くなるが、利息の支払い総額が安くなる
という関係です。
資金繰りを取るか、金利負担を取るかというトレードオフの関係です。
資金繰りの観点から言うと、
返済期間はなるべく長くとった方が毎月の返済額が少なく済むので望ましいです。
しかし、創業融資の場合は、あえて返済期間を短く設定しておくというのも手です。
というのも、日本政策金融公庫の場合、1度創業融資を受けると、
しばらくは追加融資を受けることができなくなるためです。
1つの目安として、「創業融資を半分くらい返済したら」追加の融資が受けられます。
そのため、例えば7年で借入をすると、3年半経って半分くらい返さないと、
公庫からの追加融資は難しくなる場合があります。
それに対し、例えば5年で借りておけば、2年半経って半分返せば、
公庫から追加で融資を受けることも可能です。
はじめての創業融資の場合、いきなり多額を借入することは難しいので、
まずは創業時に短めで借入をしておき、返済実績を作りつつ次の融資で大きな金額を借りるということも可能です。
ただ、もちろん返済期間が短いとその分資金繰りに影響が出てくるので、
きちんと資金繰り予測を立てて、無理のない返済額であることが前提です。
据置期間とは?
据置期間(すえおききかん)とは、元金の返済が猶予される期間のことです。
例えば、「返済期間5年 据置期間6か月」という条件で借入をした場合、
借入後最初の6か月については、元金の返済が不要で利息だけ支払えば良く、
7か月目から元金の返済が始まることになります。
据置期間があることで、資金繰りの負担が軽くなります。
特に創業初期の場合、売上も十分に上がらないことも多いですから、
利息だけの支払いで済むというのは資金繰りの観点から魅力的です。
しかし、据置期間もただやみくもに長く設定すれば良いというものでもありません。
据置期間を設定することで、以下のようなデメリットもあります。
据置期間のデメリット
①利息の支払い総額が高くなる
通常の借入であれば、元金を返済していくにつれて金利の負担も減っていきますが、
据置期間中は元金返済が無いので金利も減りません。
そのため、据え置き期間を設定すると、その分利息負担の総額が高くなるというデメリットがあります。
②据置期間後の元本の返済負担が重くなる
据置期間を利用しても、融資の返済期間そのものが延長されるわけではありません。
そのため、据置期間が長ければ長いほど、据置期間終了後の元金の返済額が大きくなります。
具体例で考えてみましょう。
例えば、300万円を5年で借入していたとします。
このとき、据置期間なしの場合は、
5年間(60か月)で300万円を返済することになるので、
3,000,000÷60=50,000
で毎月5万円ずつ元金を返済していくことになります。
これに対し、据え置き期間を6か月取ったとすると、
5年間(60か月)で返済するところ、最初の6か月は返済がないので、
残りの54か月で返済していくことになります。
そのため、
3,000,000÷54=55555
となり、毎月55,555円ずつ返済していくことになります。
元金の返済期間が短くなった分、
毎月の返済額が5,555円増えてしまいました。
このように、据置期間はデメリットもあるので、
毎月の資金繰りや利益計画、創業当初の軌道に乗るまでの期間等を考慮しながら決めていくと良いです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、創業融資の返済期間や据置期間の決め方について紹介させて頂きました。
どちらも長ければ良い/短ければ良いといった単純なものではないので、
ご自身の資金繰り計画と照らし合わせて決めていくようにしてください。
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