こんにちは!
行政書士の越阪部です。

今回は、「創業融資はいつまで受けられる?」というテーマについて紹介させて頂きます。

創業融資はいつまで受けられる?

創業融資は、一般的に信用力が低い創業者であっても、
金利や保全の面で比較的良い条件の融資が受けられる制度です。

創業者にとっては大変ありがたい資金調達の手段となりますが、
当然、創業後いつまでも融資が受けられるわけではありません。

それぞれの制度ごとに決められた期間があるので、
制度上の制限期間について紹介していきます。

なお、創業融資の選択肢としては、

  • 日本政策金融公庫の「新創業融資」
  • 地方自治体の制度融資

これら2つが主流なので、それぞれの制度ごとに紹介していきます。

日本政策金融公庫の「新創業融資」

日本政策金融公庫の「新創業融資」を使う場合は、
「事業開始後税務申告を2期終えていない方」というのが利用期限となります。

対象者の要件

新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方(注1)

新創業融資制度|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)

つまり、確定申告を2回したら、その時点で新創業融資の利用対象者ではなくなりますので、新創業融資制度を利用したい場合は、その前までに融資を受けておかないといけません。

地方自治体の制度融資

地方自治体の制度融資の場合は、自治体ごとに異なります。
代表的なところで、東京都の制度融資を見ていきましょう。

東京都中小企業制度融資『創業』対象の方

都内に事業所(個人事業者は事業所又は住所)があり、東京信用保証協会の保証対象業種を営む中小企業者で以下3点のいずれかに該当する方

1.現在事業を営んでいない個人で、創業しようとする具体的な計画を有している
2.創業した日から5年未満である中小企業者等
3.分社化しようとする会社又は分社化により設立された日から5年未満の会社

東京都中小企業制度融資『創業』|融資・助成制度 (tokyo.lg.jp)

つまり、東京都の制度融資(創業)を利用する場合は、
創業した日から5年未満であれば制度上の利用資格はあるということになります。

他の自治体も見てみましょう。
例えば目黒区の制度融資を見てみますと、対象者要件は以下の通りとなっています。

区内に主たる事業所を有し、融資申込時に事業を営んでいるが、事業開始(売上発生等、客観的に事業開始が確認できる日)から1年未満であること。ただし、法人にあっては会社設立登記日から1年未満であること

融資あっせん制度一覧 目黒区 (city.meguro.tokyo.jp)

つまり、目黒区の制度融資を利用する場合は、
事業開始から1年未満(法人の場合、設立登記日から1年未満)ということが条件となります。

このように、制度融資の場合は利用する自治体の制度ごとに異なりますので、
事業を行う場所の自治体や金融機関に確認するようにしてください。

「事業開始」はいつの時点を指す?

なお、細かいですが、「事業開始」の起算点も自治体ごとに異なりますので注意してください。例えば、個人事業の事業開始のタイミングについて、東京都は「事業開始=開業届の提出日」ですが、目黒区は「事業開始=売上発生日」となります。

創業前または創業直後に受けるべき

ここまで、制度上の利用可能期間について紹介させて頂きました。

いちおう利用期間としては、「新創業融資」の場合は税務申告を2期終えるまで、制度融資は自治体によりますが事業開始後1~5年程度といった期間が対象となります。

しかし、これから創業する方でこの記事を読んで頂いた方にはぜひとも知っておいて頂きたいことがあります。

「創業してからもしばらく使えるんだ」
「別に今じゃなくてもいいから資金に困ったら申し込もう」

みたいに考えてはいませんか?
実はこの考え方、非常に危険です。

「創業融資は創業前または創業直後に受けるべき」なのです。

創業前または直後が一番お金を借りやすい

なぜ「創業融資は創業前または創業直後に受けるべき」かというと、
「一番お金を借りやすい時期」だからです。

創業融資はある種特殊な融資制度です。

通常の融資の場合、実績(決算書)を基に融資審査が行われますが、
創業融資の場合は実績を評価しようがありません。

そのため、実績ではなく事業者の人柄や計画の妥当性を中心に評価されます。

これが、創業後3~4カ月くらい経ってしまうと、
「これまでの実績」が評価されてしまいます。

つまり、創業してからこれまでの売上や利益の状況、客数の推移等が融資審査に響いてきます。

もちろん、「創業してからこれまで順調に売上推移している!」ということであれば何の問題もありません。
むしろその場合は実績があることがプラス材料になるかもしれません。

しかし、創業期でそんなに順調に売上が上がることはなかなか少ないと思います。
統計データを見ても、創業してから黒字化するまでに平均的には6ヵ月~1年程度要します。

もし創業して半年間赤字続きで、その時に金融機関に申し込んだらどうなるでしょうか?

金融機関の立場になって考えてみてください。これまで赤字続きだった人が「今後は黒字になって返済財源を稼げます!だから貸してください!」みたいに言ってきても、まず疑いますよね。

実は、創業融資が否決になるケースとして、このようなパターンは多いです。
創業後に思ったように事業が軌道に乗らず、手元資金が減ってきたタイミングで慌てて融資を申し込んだものの、その時にはもう遅く融資を断られてしまう、という例ですね。

私のところにもこのケースで断られてから相談に来られる方がいます。
一応、そうなっても融資の再チャレンジは可能ですが、簡単ではないです。

創業時は売上も予測しづらいので、キャッシュを潤沢に持っておくことが大切です。
ぜひ創業前または直後の借入しやすいときに創業融資を受けておきましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。
今回は、創業融資はいつまで受けられるかについて解説させて頂きました。

一応、制度上の期間は設けられているものの、早く受けておくのに越したことはありません。
これから創業をされる方は、ぜひ一番借りやすい時期に借りておくようにしましょう。

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