こんにちは!行政書士の越阪部です。
今回は、「融資の最適な借り方」について紹介していきます。
金融機関から融資を受ける際に「借り方」を意識している社長は少ないです。
多くの場合、銀行や信金から言われるがままに借入をしています。
しかし、融資には資金使途に応じた適切な「借り方」があるので、
ぜひこの機会に知っておいてください。
7種類の運転資金
融資を受ける際には、借りたお金の使い道である「資金使途」が重要になります。
金融機関は、資金使途の妥当性を確認した上で、融資の実行可否を判断します。
なお、事業に必要な資金については、大きく分けて2つの種類があります。
「設備資金」と「運転資金」です。
設備資金はその名の通り、設備や機械、内装工事といった投資に必要なお金のことです。
運転資金は、仕入れや人件費、家賃など、日々の事業を続けるうえで必要になるお金のことです。
このうち、運転資金については、以下の7種類に細かく分けることができます。
- 経常運転資金
- 増加運転資金
- 賞与資金
- 納税資金
- 季節資金
- つなぎ資金
- 赤字補填資金
ここからは、代表的な運転資金の借り方について紹介していきます。
経常運転資金
経常運転資金とは、事業を継続していくために常に必要になる資金のことです。
計算式は
売上債権+棚卸資産―仕入れ債務
です。
事業を行う上では、多くの場合は入金よりも先に出金を行わなければいけません。
この入金と出金の間のタイムラグにより不足する資金を、経常運転資金といいます。
具体例で考えてみましょう。
ある卸売業者が4/1に商品を仕入れて、仕入代金の支払いは仕入れから1か月後の5/1にしていたとします。
このときに、仕入れた商品を1か月間在庫として持ったうえで5/1に販売し、販売代金の入金は1か月後の6/1に貰った場合を考えてみてください。
入金は6/1に必要ですが出金は5/1に必要ですよね。
1か月分、出費は必要なものの売上が入ってこない期間があります。この期間の分は借入等で賄う必要があるので、経常運転資金として借入が必要になります。
経常運転資金は事業を行っている限りずっと必要になるものです。
また、出金と入金のタイミングの差によるものなので、
事業終了時(出金が無くなったとき)には回収が見込める資金ともいえます。
そのため、本来的には、返済不要で借りっぱなしにしておくのが正しい借り方です。
経常運転資金については、短期継続融資(一括返済の手形貸付で借りて、期日が来たら再度手形貸付で融資を実行するという借り方)で借りて、元金の返済はしないというのが本来の借り方です。
しかし、現実的には、長期借入金で調達している会社がほとんどです。
毎月の返済が必要なので、経常運転資金が一定のポイントを下回ったところで再度追加融資を受ける形で対応しています。
これが資金繰りを悪化させる原因で、毎月の返済額が多額に上ってしまい、「売上は伸びていて利益も出ているのになぜかお金が減っていく」ということになってしまいます。
経常運転資金について詳しくはこちらの記事にも纏めていますのでご覧ください。
賞与資金、納税資金
賞与資金も納税資金も、突発的に多額の費用がかかるケース(従業員への賞与や法人税・事業税等)に対応するために、必要になる資金のことです。
賞与資金については、手形貸付として6か月以内の分割返済で借りるのが基本です、賞与資金を借りることで、夏と冬に突出する支払いを均等化して資金繰りを安定させる効果があります。
次のボーナスまでに完済するスケジュールで借りるので、6か月以内が通常です。
納税資金についても同様に、一度にかかる納税の支払い負担を均一化するために借りるものです。
決算申告の際の納税と中間納税のタイミングに合わせて借りますので、期間は6か月以内が通常です。
なお、納税資金は消費税や源泉所得税には使えません。
これらは、法人税や事業税と異なり、預り金という性質のものだからです。
季節資金、つなぎ資金
季節資金とは、クリスマスや年末年始など、ある特定の時期に売上の増減が大きい商品を取り扱う際に必要になる運転資金のことです。
例えばクリスマス商品の場合、企業はクリスマスよりも前に在庫として蓄えておき、クリスマスの時期に一気に販売して資金を回収します。この場合、10月、11月から先行して仕入れ代の出費が必要になるので、売上が入金されるまでは融資で賄うことになります。
つなぎ資金とは、建設業やシステム開発業等、1件の受注金額が大きくなる事業でよく見られるもので、受注から入金までの間の材料費や外注費に充てる資金をいいます。たとえば、建設会社が1,000万円の工事を受注したとして、300万円の材料費と500万円の外注費がかかった場合、この800万円については入金よりも先に必要になります。この分をまかなう資金をつなぎ資金といいます。
季節資金もつなぎ資金もどちらも、今後の売上の入金が返済財源になるので、
入金予定の日付に合わせて手形貸付で短期融資を受けることが一般的です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、運転資金の借り方について紹介させて頂きました。
この借り方の原則を守るだけでも資金繰り改善に大きく繋がります。
ぜひご参考になれば幸いです。
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