こんにちは!
行政書士の越阪部です。
今回は、「目黒区で創業融資を考えている方」の為に、
実体験に基づく使える情報をお届けしようと思います。
ぜひ最後まで読んで頂ければと思います。
目黒区での創業融資の選択肢
目黒区で創業融資を受ける場合の選択肢としては、
- 日本政策金融公庫(五反田支店)
- 目黒区の制度融資
実質この2択となります。
私自身、事務所を開業する際にこの2つを両方使いましたので、
それぞれのメリット/デメリットについても紹介させて頂きます。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、政府が100%出資する公的な金融機関です。
全国152支店あり、創業者のような比較的信用力が低い方に対しても、
積極的に融資を行っています。
創業融資の選択肢として、一般的に最も利用されているのが「日本政策金融公庫」ですね。
融資を申し込む際はお近くの支店に申し込みの上、面談を受けることになります。
目黒区で事業を行う場合、「五反田支店」が管轄となります。
日本政策金融公庫 五反田支店
融資を受けるまでの流れ
日本政策金融公庫で融資を受けるときは、以下の流れで進みます。
①~④まで、通常3週間程度です。
①融資申し込み
公庫に融資を申し込みます。最近だとインターネット申し込みが主流です。
このタイミングで創業計画書が必要になりますので資料は事前に用意しておきます。
②面談
申込から数日後に公庫から電話がかかってくるので、
面談日程を決めて、公庫の担当者と面談を行います。
面談は30分~1時間程度で、公庫の支店にて行います。
③契約書締結
面談が終わり融資が決定されると、1週間前後で封筒が届きます。
封筒には契約書類が入っているので、記入の上返送します。
④入金
契約書を公庫に送った後、数日で指定口座に入金されます。
これで融資手続きは完了で、あとは取り決め通り返済していくのみです。
必要書類
公庫で融資を申し込む際には、以下の書類が必要になります。
支店や担当によっては、その他の書類を要求されることもあります。
- 創業計画書
- 見積書(設備資金を申し込む場合)
- 履歴事項全部証明書(法人の場合)
- 運転免許証またはパスポートのコピー
- 許認可証
- 通帳
- 賃貸契約書のコピー
メリット・デメリット
後述する制度融資と比較してメリットとデメリットを紹介させて頂きます。
メリット
①とにかくスピードが早い
公庫の場合、融資実行までのスピードが早いのが特徴です。
通常、申込から2~3週間前後で融資が実行されます。
②手間がかからない
制度融資と違って関連する機関も少ないので、手間がかからないことも特徴です。
創業時に余計なことで時間を取られたくないという方にはオススメです。
③社長の連帯保証無しで借りられる
法人で融資を受ける場合、代表者個人が連帯保証人となるケースが多いです。
公庫の場合、創業期であっても連帯保証なしで融資が受けられる制度(新創業融資制度)があるので、経営者保証不要で融資が受けられます。
デメリット
①制度融資と比べると利率が高い
日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する場合、
基準利率は2.3%~3.35%となります。(2022年11月現在)
創業者が無担保無保証でこの金利で借り入れできるのはかなり低金利だと思いますが、
それでも後述する制度融資と比較してしまうと、やや割高となるのがデメリットです。
目黒区の制度融資
制度融資とは、「地方自治体が金融機関や信用保証協会と連携して行う融資制度」のことです。都道府県や市区町村ごとに独自の制度を設けており、目黒区も例外ではありません。
目黒区では、以下のような制度融資が設けられています。
なお、もっと詳しく知りたいという方は、こちらの記事をご覧ください。
基本条件
融資限度額 | 1,000万円以内 |
年率 | 本人負担0.2%以内(年利1.8%以内でそのうち目黒区が1.6%を補助) |
借入期間 | 運転資金7年以内(据え置き期間1年) 設備資金9年以内(据え置き期間1年) |
利用条件 | 区内に主たる事業所(法人の場合は登記上の本店所在地を含む)を置いて中小企業を創業しようとする事業者(創業後1年未満を含む)を対象とした融資 |
融資を受けるまでの流れ
目黒区の制度融資を利用する際には、以下の流れで進みます。
私の場合、①~⑨まで2か月かかりました。
(これでもスムーズにいった方だと思います。)
①金融機関へ相談
近くの金融機関に行き、創業融資の相談をします。
②目黒区へ相談予約
制度融資を利用する際には、目黒区から「融資あっせん書」を発行して貰う必要があります。融資あっせん書を貰う為に、目黒区との事前相談が必要ですので、電話で相談の予約を行います。
③融資あっせん相談
目黒区役所で相談を行います。創業計画書の内容を確認した上で、融資あっせん申込書の書き方についてレクチャーを受けます。私の場合は1時間弱かかりました。
④融資あっせん申込予約
融資あっせん申込書を目黒区に提出するための電話予約を行います。
⑤融資あっせん申込
融資あっせん申込書を目黒区に提出します。
この際に、再度30~40分くらいの面談があります。
⑥融資あっせん書の交付
申込から数日後にあっせん書が受け取れます。
受け取る際には再度目黒区役所に行きます。
⑦金融機関へ融資あっせん書の提出&融資申し込み
融資あっせん書を金融機関に提出して、融資の申込を行います。
この時に、金融機関や信用保証協会所定のフォーマットで追加書類を求められます。
⑧信用保証協会との面談
金融機関への申込から1~2週間後に、信用保証協会との面談が設定されます。
⑨契約&融資実行
金融機関と信用保証協会の審査が通ったら、
再度金融機関に行って契約書を締結して、手続きが全て完了です。
必要書類
目黒区の制度融資を申し込む際には、以下の書類が必要になります。
日本政策金融公庫で融資を受けるよりも必要書類は多かったです。
〈法人・個人共通〉
- 創業計画書(所定用紙)2部
- 敷金・入居保証金等が確認できるもの(賃貸借契約書、重要事項説明書等)
- 自己資金が確認できる預金通帳の写し
- 売上発生等、客観的に事業開始が確認できるもの(事業開始から1年未満の方のみ)
〈法人〉
- 履歴事項全部証明書(発行後3か月以内のもの)
- 連帯保証人の源泉徴収票等
- 連帯保証人の住民票(個人番号を省略したもの)
- 事業報告書等の写し
<個人>
- 申込人の源泉徴収票(2年分)
- 申込人の住民票(個人番号を省略したもの)
- 事業開始届(写し)
- 住民税納税証明書
メリット・デメリット
日本政策金融公庫と比較したメリット・デメリットを紹介します。
メリット
①金融コストが安い
とにかく安く資金調達できるということが最大の特徴です。
金利が実質0.2%と、日本政策金融公庫(2.3%~3.35%)と比べてもかなり安いです。
制度融資の場合、金利とは別に信用保証協会への保証料(通常1%前後)がかかるのですが、
保証料も1/2は東京都が補填してくれるので、実質0.5%程度で済みます。
金利と保証料を合わせても、公庫よりも安く資金調達が可能です。
②地域の信金・信組との付き合いができる
制度融資の場合、申し込む先は民間の金融機関となります。
創業期に民間の金融機関と付き合って返済実績を作っておけば、
ゆくゆく事業を拡大させていくときに資金調達がスムーズに行えます。
③創業助成金の応募資格が得られる
東京都で創業する場合、創業者が上限300万円を貰える「創業助成金」があります。
創業助成金には応募資格が色々とあり誰でも申し込めるものではありませんが、
応募資格の1つが「制度融資を受けていること」です。
創業助成金は融資と違って返済が不要なので、
返済不要の300万円を手にするチャンスが得られます。
デメリット
①時間がかかる
融資申し込みから実行までに2~3か月要します。
早くお金が必要な方にとっては大きなデメリットとなります。
特に、「物件を仮押さえしているので早く融資を受けないと困る」みたいな人は、
日本政策金融公庫の融資の方が向いています。
②手間がかかる
日本政策金融公庫で融資を受けるよりも遥かに手間がかかります。
そもそも融資申し込みをするまでに、何回も目黒区役所に足を運ばないといけませんし、提出する書類も多いです。(目黒区、金融機関、信用保証協会の3者向けに用意する必要があります。)
③創業前の場合は自己資金の制限がある
事業開始前の方は、自己資金の範囲内でしか借入ができないルールがあります。
そのため、仮に自己資金が300万円だとすると、借入できる額も300万円までとなります。
既に事業を開始していればこの条件はなくなりますが、
これから事業を行う方は要注意です。
日本政策金融公庫 or 制度融資どちらが良い?
ここまで読んで、「結局どっちが良いの?」と思った方もいると思います。
個別のケースによって異なりますが、以下のような基準で選んで頂ければ良いと思います。
・とにかく早く融資を受けたい方
・余計な手間は省きたい方
・できるだけ低コストで資金調達をしたい方
・手間や時間がかかっても良い方
私の個人的なオススメ手法
個人的には、「どちらも利用する」という方法が一番オススメです。
「そんな、両方申し込んで大丈夫なの!?」と思われるかもしれませんが、大丈夫です。日本政策金融公庫と民間の金融機関(制度融資)を両方使って融資を受けることを「協調融資」といいます。
日本政策金融公庫も協調融資を推進していますし、
あくまでも日本政策金融公庫は民間金融機関の補填の為にあるので、むしろ本来的な利用方法でもあります。
創業期に日本政策金融公庫と制度融資を利用しておくことで、
日本政策金融公庫と民間の金融機関(信金・信組)に対して返済実績ができることになります。
この返済実績があることで、
3年後、5年後に事業拡大で資金が必要になったときに(または、3年後、5年後に思ったようにうまく行かず追加で資金が必要になったときに)資金調達がしやすくなります。
このように、「創業時の資金調達」だけでなく、
3年後、5年後を見据えて資金調達戦略を考えるのであれば、
創業融資で日本政策金融公庫と制度融資を両方利用するのがベターだと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、目黒区で創業融資を受ける際の方法について紹介させて頂きました。
ぜひ目黒区で創業される方のご参考になれば幸いです。
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ぜひダウンロード頂き、経営に役立てて頂ければと思います!