こんにちは!
行政書士のオサカベです。
今回は、創業計画書の売上計画の根拠はどうやって立てるのか?というテーマについて紹介させて頂きます。
事業計画書を作りたいけど、書き方が分からない・・・という方には役に立つと思うので、ぜひご参考にして貰えればと思います。
金融機関は売上の根拠を見ている
金融機関に融資の申込書を提出する際には、収支の計画を立てて返済の可能性を示します。
収支の計画を立てるときには、毎月の売上高や経費を細かく計画立てて、きちんと利益を出してその利益から返済できるということを示さなければなりません。
このときにカギになるのが、毎月の売上高の推移です。
根拠なしに売上が右肩上がりに作っている計画書を持って行ったとしても、金融機関としては信ぴょう性がないのでお金を貸してくれません。
そのため、売上計画については、しっかりと根拠立てて計算を積み上げていく必要があります。ここからは、売上計画の根拠の立て方について紹介させて頂きます。
売上計画の根拠の立て方
売上高の計算方法は、以下のような計算式があり、計画立案時にはよく使われます。
単に「毎月10%アップ!」みたいな大雑把な計画を立てるよりも、しっかりと積算で計画を作っていった方がはるかに説得力が上がります。
①設備が直接売上に結びつく業種
部品製造業、印刷業、運送業など、設備が直接売上に結びつき、設備単位当たりの生産能力がとらえやすい業種については、以下の計算式で売上予測を立てます。
〈算式〉 設備の生産能力 × 設備数
たとえば、部品(ボルト)製造業の例を見てみましょう。
- 設備:旋盤2台
- 1台当たりの生産能力:500個/1日8時間稼働
- 売上単価@50円
- 月間稼働日数:月25日稼働
このような条件であれば、1か月の売上高は、
50円×500個×2台×25日=125万円
となります。
②販売業で店舗売りのウエイトが大きい業種
コンビニエンスストアなど、販売業で店舗売りのウエイトが大きい業種の場合は、以下の計算式で売上予測を立てることができます。
1㎡(または1坪)当たりの売上高 × 売場面積
コンビニエンスストアの例を見てみましょう。
- 売場面積:100㎡
- 1㎡あたりの売上高(月間):16万円
このような条件であれば1か月の売上高は、
16万円×100㎡=1,600万円
となります。
③店舗型のサービス業関係業種
飲食店営業、理容業、美容業などサービス業関係業種の場合は、以下のような算式で売上計画を立てることができます。
客単価 × 設備単位数(席数) × 回転数
たとえば理髪店の場合、
- 理髪椅子:2台
- 1日1台当たりの回転数:4.5回転
- 客単価:3,950円
- 稼働日数:月25日稼働
であれば、1か月の売上高は
3,950円×2台×4.5回転×25日=88万円
となります。
④労働集約的な業種
自動車販売業、化粧品販売業、ビル清掃業などの労働集約的な業種の場合、計算式は以下の通りとなります。
〈算式〉 従業者1人当たり売上高 × 従業者数
自動車小売業の例で見てみましょう。
- 従業者:3人
- 従業者1人当たりの売上高(月間):256万円
この条件であれば、1か月の売上高は
256万円×3人=768万円
となります。
売上計画を根拠立てる上でのポイント
ここでポイントになるのは以下の3つです。
- 積算すること
- 季節変動や土日祝日といった変動要因を加味すること
- 業界平均のデータを活用すること
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①積算すること
先に述べた計算式に共通することとして、全て「売上を細かく分けて積算している」ということが挙げられます。
例えば店舗型ビジネスであれば、「客単価×席数×回転率」というように売上を細分化することができます。これであれば、客単価は予想しやすいですし、席数は既に分かっていますし、回転率も業界データ等を参照すればある程度予想も付きます。
他にも、商品が複数個ある事業であれば、商品ごとに客数×客単価を求めるのがセオリーです。
このように「細かく分けて積算する」ということは意識してみてください。
まったく何も根拠ないところから「売上は〇〇円!」みたいに算定するよりも遥かに精度が上がります。
②季節変動や土日祝日といった変動要因を加味すること
ビジネスによっては、月ごとに売上の増減が大きいビジネスがあります。
例えばアイスクリーム屋さんですと、夏と比べて冬はどうしても売上が落ちます。
このような商売なのに毎月同じだけの売上を上げている計画を立てると、「ちゃんと考えていないな」と思われマイナス評価となります。季節変動に関してもしっかりと加味して月次の計画書を作りましょう。
また、土日祝日といった要因も加味するようにしましょう。例えば飲食店であれば、①平日昼、②平日夜、③土日昼、④土日夜というように4パターンに分けて、それぞれで客単価×席数×回転率の計算をする方が、より実態に近い計画が立てられます。
③業界平均のデータを活用すること
上述の例で「1㎡あたりの売上高」や「従業員1人当たりの売上高」といった指標が出てきましたが、こういったものは「小企業の経営指標」で調べます。
小企業の経営指標調査|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)
このデータは日本政策金融公庫が公表しているデータで、各業界ごとの平均データ等が分かります。日本政策金融公庫が出している以上、「小企業の経営指標調査のデータから推定しました」といって売上計画を持って行けば、納得して貰いやすいです。
どうしても予測が立てづらいビジネスの場合は
これまでに一般的でない職種やBtoBビジネスのように、上記のような積算が立てにくい業種もどうしてもあると思います。
例えばBtoBのスポットの仕事で、「毎月1件受注する」というようなビジネスモデルの場合どうでしょうか。1か月1件受注することを根拠立てて示すのは困難です。
こういった場合は、「毎月1件受注するためのマーケティング戦略を事細かに書く」ということが効果的です。
例えば、営業活動をリスト化して現在の取組状況と一緒に纏めたり、見込み顧客リストを提示したりして、「このような動きをしていれば、1件くらいはちゃんと受注できる」と思って貰えるようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、創業計画書で売上計画の根拠はどうやって示すのかというテーマについて紹介させて頂きました。
ただいま、創業者に役立つ小冊子を無料プレゼントしています。
ぜひご覧いただき、創業に役立てて頂ければと思います!!
最後まで読んで頂きありがとうございました。