こんにちは!
行政書士のオサカベです。
今回は、「設備資金で融資を受ける際のポイント」について紹介していきます。
運転資金とはまた違った審査ポイントがありますので、ぜひ参考になれば幸いです。
設備資金とは?
そもそも設備資金とは、機械、事業用車両などの購入や店舗、工場、事務所などの増改築など、企業が事業に必要な設備を購入するための資金です。
具体的には、
・増改築(店舗、工場、事務所などの新設・改修)
・機械設備の導入(事業用機械や車両)
・老朽設備の更新、補強
・システム導入
などが挙げられます。
どの設備にしても、設備導入には「投資」という性質があります。
購入した設備によって、将来的に購入費以上の利益を上げるという目算があって投資を行うものです。
そのため、金融機関で融資審査が行われるポイントも、「設備を導入した事業がもたらす利益」に着目するのが基本的な考え方となります。
設備資金の借り方
設備資金を借りる際に着目されるのは、先ほど述べた通り「設備を導入した事業がもたらす利益」です。
しかし、設備を入れたからといって1年や2年ですぐに利益が出るなんてことは少なく、通常は5年や10年で考えていきます。
そのため、設備資金の融資は5年~10年程度の長期資金として証書貸付で借りるのが基本です。
なお、返済期間の設定については、できる限り「法定耐用年数」と同じかそれ以上になるようにしましょう。
「法定耐用年数」とは、設備や機械ごとに税法上決められた期間のことで、その期間に減価償却を行っていくことになります。
例えば700万円の機械を買ったとして、この機械の耐用年数が7年だったとします。
耐用年数に沿って減価償却を行うので、毎年100万円ずつ費用計上していくことになります。
しかし、この100万円はあくまでも会計的な概念の話であって、
実際に手元から100万円がなくなるわけではありません。
そのため、仮にその期の最終的な利益が0円だったとしても、
手元には現金100万円が残ることになります。
ここで、法定耐用年数と借入期間の話に戻ってみます。
仮に「借入期間=法定耐用年数」とすると、700万円の借入金を7年で返済するので毎年の返済額は100万円となります。
この場合だと、もし年間の利益が0だとしても、
減価償却費で100万円分のキャッシュがあるので、毎年100万円の返済は可能です。
しかし、「借入期間5年」だとどうでしょうか。
この場合は、700万円の借入金を5年で返済するので、毎年の返済額は140万円となります。
このときに年間の収支がトントンだとすると、
減価償却費で残った100万円のキャッシュでは返済ができなくなってしまいますので、
毎年少なくとも40万円の利益を残さなければいけません。
このように、法定耐用年数より短い期間で借入期間を設定すると、
その分利益を出して返済財源を作らなければいけなくなるので、資金繰りが厳しくなります。
融資審査のポイント
設備資金の返済財源は、
利益+減価償却費
となります。
先ほど述べた通り、減価償却費はPL上では費用として計上されていても、手元の資金が減ることはありません。そのため、当期の純利益と並んで返済財源に加えることが可能です。
融資審査にあたっては、この返済財源が返済額を上回ることを示す必要があります。
つまり
税引き後利益+減価償却費>毎年の返済額
ということをどれだけ説得的に示すことができるかというのがポイントになります。
このときに必要になってくるのが事業計画書です。
よほど業績が良くて金融機関がむしろ貸したがっている場合であれば事業計画書は不要ですが、そうでなければ必要です。
いくら金融機関に口頭で説明しても中々伝わりませんし、
担当は説得できてもその裏にいる上司や融資課には伝わりません。
そのため、設備を導入する目的や必要性、効果、事業の妥当性、
それによる収益計画について計画書に纏め、根拠を数字で示す必要があります。
必要であれば運転資金も借りておく
設備導入に伴って、運転資金が必要であれば一緒に借りておきましょう。
一般に、設備導入に伴い「研究開発設備投資に伴う研究開発費」、「新店舗設置に伴う人件費・研修費」等の運転資金が必要になります。
また、設備投資により売上が上がれば、「売掛債権+棚卸資産-仕入債務」である経常運転資金も増加します。
設備を導入した直後の利益も上がらない時期に、
運転資金が多くかかってしまうと資金繰りに影響が出てしまうので、
必要であれば運転資金を借りておきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、設備資金で融資を受ける際のポイントについて紹介させて頂きました。
ぜひご参考になれば幸いです。
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