こんにちは!
行政書士の越阪部です。

今回は、「流動比率」について紹介します。

「流動比率ってなんか難しそうでチンプンカンプン」という人でも理解できるよう
なるべくかみ砕いて分かりやすく解説していきますので、参考になれば幸いです。

流動比率とは?

流動比率(りゅうどうひりつ)とは、
「会社の短期的な安全性」を表す財務指標です。

「会社の短期的な安全性」とは、「短期的な支払い能力」のことをいいます。
もっと大雑把に言い換えれば、「近々資金繰りに詰まって倒産してしまう可能性が高いかどうか」です。

「短期的な安全性が高い」=「少なくとも直近で倒産の可能性は低い」ということに対し、
「短期的な安全性が低い」=「直近での倒産の可能性が高い」ということになります。

流動比率は%形式であらわされ、
高ければ高いほど、その会社の短期的な安全性は高いといえます。

ざっくり感覚的に言うならば、
「高いとひとまず安全、低いと危険!」という指標だと思ってください。

流動比率の計算方法

流動比率は、以下の計算式で求められます。

流動比率=流動資産÷流動負債×100(%)

多分、財務が苦手な方はこの計算式で離脱してしまうと思います。笑
以下、順を追って説明していきます。

そもそも流動比率は、「貸借対照表(BS)」から求められる指標です。
BSは「会社のお金の調達状況と運用状況」を表しており、以下のような構成になっています。
(この辺りの詳細は別記事に纏めているのでご覧ください!)

BSの右側(貸方)には「お金をどうやって調達したか」ということが示され、
BSの左側(借方)には「そのお金をどのように運用しているか」が示されています。

右側(貸方)の上の方には、「流動負債」があり、左側(借方)の上の方には、「流動資産」があります。

流動負債・流動資産とは

流動負債:1年以内に支払わなければいけない負債のこと
流動資産:1年以内に現金化できる資産のこと

具体例でみていきましょう。
例えば、買掛金や支払手形といった科目は、通常1年以内に支払うものなので流動負債に当てはまります。
また、銀行からの借入のうち、手形貸付のように短期で借入したもの(短期借入金)も流動負債となります。

また、資産の部に計上される科目のうち、現預金、売掛金、棚卸資産といったものは、
比較的早く現金化できるものなので「流動資産」となります。

流動比率は、この「流動資産」と「流動負債」の割合のことです。
つまり、「流動負債に対してどのくらい流動資産を持っているのか」ということを表します。

これにより、企業の短期的な安全性(=支払い能力)を測ることができます。

■流動比率は何をチェックすればよい?

流動比率は、実際の数値を計算して分析するのも良いですが、
簡易的にチェックする方法があります。

簡易的に確認したい場合は、
まずは「流動比率が100%以上かどうか」をチェックしてください。

言い換えると、「流動負債」に対して「流動資産」が多いかどうかを確認するということになります。

先ほど述べた通り、流動比率は流動負債に対して流動資産をどれだけ持っているかを表した指標です。
下の図のように流動負債に対して流動資産が多ければ、

1年以内に支払うお金<1年以内に現金化できる資産

となるので、直近での安全性は高いということですね。
この場合、流動比率は100%以上になります。

逆に、流動負債に対して流動資産が少なければ、

1年以内に支払うお金>1年以内に現金化できる資産

ということになります。

この場合、1年以内に支払期限が到来する負債を、
手持ちの流動資産で返済することができないということが分かります。
この場合には流動比率は100%を下回ることになります。

問題なのがこのケースで、
1年以内に支払期限が到来する負債を返済するためには
新しく資金調達する等、何かしらの手を打たなければなりません。

このように、いちいち流動比率を計算するよりも、
流動負債に対して流動資産が多いか少ないか確認する方が、
簡単かつ直感的に状況把握をすることができるのでおススメです。

流動比率をチェックする際の注意点

流動比率を確認するためには、表面上の数字だけでなく、実際の数字に基づいて計算することが大切です。

中小企業のBSでは、流動資産が実態と合わない場合がしばしばあります。
例えば、売掛金が焦げ付いていて回収が見込めなかったり、
棚卸資産が販売のできない不動在庫になってしまっていたり、
さらには実際よりも水増しされて多く計上されていることもあります。

このように、実態のBSで確認しないと、わざわざ数字を分析してもあまり意味がありませんので、注意してください。

当座比率との違い

流動比率とよく似た指標として、当座比率というものもあります。

当座比率=当座資産÷流動負債×100(%)

流動比率との違いは、分子が当座資産に変わっている点です。

当座資産とは、流動資産から棚卸資産を差し引いたものを言います。

棚卸資産は、実際に販売できるかどうかが必ずしも確実ではなく、実際に現金化できるかどうかは分かりません。
そこで、流動資産から棚卸資産を抜いた当座資産を分子に持ってきて、
当座比率よりもより厳しい目で短期の安全性を確認するための指標が当座比率になります。

こちらも、流動比率と同様に、
高ければ高いほど短期的な支払い能力は高く、安全性が高いということになります。

まとめ

いかがだったでしょうか。
今回は、流動比率について紹介させて頂きました。

流動比率が100%を下回っていると、
短期的な会社の安全性が低いということになりますので、
ぜひ確認してみてください。

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