こんにちは!
行政書士のオサカベです。

今回は、「東京都信用保証協会の保証審査のポイント」について紹介します。

小規模事業者が民間の金融機関からお金を借りる際には、
多くの場合で信用保証協会の保証が付いていますよね。

そのため、融資を申し込む際には、金融機関の融資審査に加え、
保証協会の審査にも通らなければいけません。

今回は、そんな保証協会が融資審査の際にどこを見ているかについて紹介させて頂きます。

東京都信用保証協会の保証審査のポイント

信用保証協会の保証審査のポイントは、東京都が発行している「中小企業のための金融の手引き」に書いてあります。

先日、手引きを眺めていたら、思いのほか具体的に書かれてあったのを見つけたので、ここで一部紹介させて頂きます。

(1)基本的なポイント

保証審査に当たっては、特に次の4項目を確認します。

1.保証資格
2.資金使途とその効果等
3.返済能力
4,経営者

それぞれ掘り下げて説明していきます。

1.保証資格

ポイント

①中小企業者であること。
②東京都内に事業所または事務所(個人の場合、住居でも可)を融資、事業を営んでいること。
③保証対象業種を営んでいること。
④許認可事業については必要な許認可を取得していること。
⑤事業が法令・公序良俗等に反しないこと。

等々

保証資格は、そもそも保証の要件を満たしているかどうかを確認する項目ですね。
当然ですが、「企業規模が保証協会の保証対象を超えている」、「税金に未納がある」といった場合は保証を受けることができません。

2.資金使途とその効果等

ポイント

①保証対象業種(事業)に関わる事業性資金であること
②運転資金の場合その必要性と資金効果等、設備資金の場合その必要性と投資効果等

資金使途(お金の使い道)と効果(お金を投資した結果どのくらい利益を生むか)について審査が行われます。これらの項目については、融資申込時に書面で伝えることができればベターです。事業計画書等で資金使途を示し、必要な資金であることを説明しましょう。

3.返済能力

ポイント

①事業による利益で返済可能であるか
②上記以外による返済資金の調達が可能であるか等

返済能力については、「税引き後利益+減価償却費」といったキャッシュフローが元本返済額を上回っているかどうかが重要です。できれば資金繰り表を作って返済財源を説明できればベターです。

4.経営者

ポイント

①企業経営力:業界動向把握、事業概況把握、計数観念、従業員管理能力等
②経営意欲:研究・開発意欲、経営革新への取組姿勢等
③信頼性:経験、実績、責任感等

中小零細企業においては、会社の成長=経営者次第といっても過言ではないため、経営者自身の能力や人柄もチェックされます。どうやって能力や人柄を示せば良いかというと、オススメは「事業計画書」を作ることです。事業計画書を作って金融機関に渡せば信用保証協会にも渡るので、審査上プラスに働きます。

(2)財務面でのポイント

上記の基本的なポイントに加え、申込事業者の財務面にも着目して、事業活動の集大成でもある「確定申告書(決算書)」を「資金使途」「返済能力」等の判断材料とし活用しています。財務面では主に下記の3点を重視しています。

1.事業の安定性
2.事業の収益性
3.事業の成長性

それぞれ具体的に見ていきます。

1.事業の安定性

環境の変化に対する対応力や支払能力、財務体質の健全性等を評価します。

【比率例】自己資本比率:(自己資本÷総資産)×100で表される指標
この比率が高いほど企業の財務的な安全性が高いとされ、財務逼迫時における企業の耐久力を示す基本的な指標とされています。

安定性を見る指標として、「自己資本比率」が手引きに書かれています。
日ごろから節税ばかり意識して利益を削っていると、売上の拡大に伴い借入ばかりが膨らみ自己資本比率が低下してしまいます。しっかりと毎年利益を蓄積して、自己資本比率を高めていくのが理想です。

2.事業の収益性

現状どの程度の利益を上げているのか、将来に渡って安定的に収益を上げていく力を持っているのか等を判断します。

【比率例】総資本経常利益率:(経常利益÷総資本)×100で表される指標
企業活動に投下された総資本に対して、どの程度の利益を上げているかを示すものです。

収益性を見る指標として、「総資本経常利益率(ROA)」が挙げられています。
ROAは、総資本に対してどれだけ利益を生んでいるかということを表す指標で、PLとBSの総合力が問われます。

たとえPL上は利益が出ていても、BSに余分な科目が多く肥大化していればROAは低くなってしまいますので、ROA改善の為にはBSを意識した経営が必要です。

※ROAについて詳しく知りたければこちらの記事に纏めています。

3.事業の成長性

売上高や利益の伸び率等を数期間にわたって比較することで、成長性を判断します。

【比率例】売上高伸長率:(今期売上高÷前期売上高)×100で表される指標
売上高が前期と比較して、どの程度伸びているかを表します。

事業の成長性を表す指標として「売上高伸長率」が挙げられています。
単純に、前期と比べて何パーセント売上が伸びたかを表す指標です。

もちろん売上の伸びも大事ですが、「売上が上がって利益が下がった」ような場合だとイマイチですので、売上だけに固執しないようにしましょう。

それ以外にも、着目する項目例としては次のようなものが挙げられています。

・貸借対照表(BS)上の項目

流動資産、固定資産、現預金、受取手形、売掛金、資本金等
流動負債、固定負債、借入金、買掛金、純資産等

・損益計算書上(PL)の項目

売上高、営業利益、経常利益、当期利益、受取利息、支払利息等

特にBSの項目には気を付けるようにしましょう。
資産性が無いのに資産の部に計上されている科目の洗い出しや、雑勘定(貸付金、立替金、未収入金等)がないかどうかも確認してください。

まとめ

いかがだったでしょうか。
今回は、東京都信用保証協会の保証審査のポイントについて紹介させて頂きました。

実際は、金融取引状況等も総合的に検討されたうえで保証の諾否や保証金額の決定が行われますが、ここに挙げた項目は審査の基本となる項目です。

しっかりとポイントを抑えたうえで融資に臨むようにしてください。

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