こんにちは!
行政書士の越阪部です。

今回は、経営革新計画について紹介していきます。
うまく活用すればメリットの大きい制度ですのでぜひご参考になれば幸いです。

経営革新計画とは?

中小企業が「新事業活動」に取り組んで経営向上を図る際に、
中期的な経営計画書を国や都道府県に提出し、承認を得る制度です。

いわば「政府のお墨付きを得た事業計画書」です。


国や都道府県から承認を得ることで、融資や補助金等、様々な支援策の対象となり、
中小企業にとってもメリットがあります。

経営革新計画の対象事業者

経営革新計画の対象となるのは、以下の従業員基準を満たす事業者となります。

業種従業員数
製造業、建設業、運輸業その他の業種500人以下
卸売業400人以下
サービス業300人以下
小売業(飲食業含む)300人以下

また、これに加え、直近1年以上の営業実績があることも必要なので、
創業間もない事業者は対象とはなりません。

経営革新計画の要件

経営革新計画を申請するためには、
申請する計画が以下2点の要件を満たさなければいけません。

(1)新事業活動に取り組む計画であること
(2)経営の相当程度の向上を達成できる計画であること

それぞれ具体的に説明していきます。

(1)新事業活動に取り組む計画であること

経営革新計画は、既存とは異なる新事業に取り組む計画であることが必要です。

ここでいう新事業活動とは、既に他社において採用されている技術・方式であっても、
自社にとって新たな事業活動であれば原則として対象となります。
(しかし、既に競合でも相当程度普及している技術・方式の導入あれば対象外となります。)

新事業活動の類型

新商品の開発または生産
新役務の開発または提供
商品の新たな生産または販売の方式の導入
役務の新たな提供の方式の導入
技術に関する研究開発及びその成果の利用

(2)経営の相当程度の向上を達成できる計画であること

経営革新計画は、経営の向上を図る計画であることが必要です。
経営の相当程度の向上とは、「付加価値額」と「給与支給総額」が以下表以上の伸び率を達成しているかどうかで判断されます。

事業期間「付加価値額」または「一人当たりの付加価値額」の伸び率「給与支給総額」の伸び率
3年計画9%以上4.5%以上
4年計画12%以上6%以上
5年計画15%以上7.5%以上
付加価値額とは

営業利益+人件費+減価償却費

給与支給総額とは

役員並びに従業員に支払う給料、賃金および賞与+給与所得とされる手当

申請に必要な書類

経営革新計画申請の際には、以下の書類を揃えて提出することになります。
書類提出から結果通知までは2~3か月くらいかかるので、余裕を持って準備しましょう。

法人の場合

①経営革新計画に関わる承認申請書
②直近2期分の確定申告書類一式
③履歴事項全部証明書
④定款の写し

個人の場合

①経営革新計画に関わる承認申請書
②住民票
③直近2期分の確定申告書類一式

経営革新計画を申請するメリット

経営計画策定を通じてビジョンが明確になる

経営計画を作るためには、現状分析や経営課題の設定、市場調査、新事業の策定、資金調達計画、実施計画、効果予測・・・といった様々な面から計画を立案していくことになります。

この過程を経ることで、新事業に対するビジョンが明確・具体的なものとなり、
今後事業を進めていくうえでの一つの道しるべとなります。

国や都道府県の支援策の対象となる

経営革新計画の承認を受けることで、国や都道府県の各種支援策を受けることができます。
主な支援策として、以下が挙げられます。

日本政策金融公庫の特別利率による融資制度

中小企業事業
経営革新計画パンフレットより引用

国民生活事業
経営革新計画パンフレットより引用

信用保証協会の保証枠の特例

信用保証協会の保証枠に関して、
経営革新計画の承認事業を行う為の借入については、
通常枠とは別に特別枠が設けられます。

 通常特別枠
普通保証2億円2億円
無担保保証8,000万円8,000万円

中小企業投資育成株式会社からの投資

通常は資本金3億円以下の株式会社が対象であるところ、
経営革新計画の承認を受けた中小企業者であれば、資本金3億円超の株式会社等も支援対象となります。

起業支援ファンドからの投資

経営革新計画の承認を受けた株式会社・国内の設立5年未満の有望なベンチャー企業等に、株式や新株予約権付き社債等の取得による資金提供、加えて踏み込んだ経営支援(ハンズオン支援)が行われます。

海外展開事業者への支援制度

経営革新計画の承認を受けることで、公庫のスタンバイ・クレジット制度を活用することが可能になります。

スタンバイ・クレジットとは、債務保証の為に発行される信用状です。
中小企業の海外支店または海外現地法人が海外金融機関から現地流通通貨建ての融資を受けるにあたり、公庫が提携する海外金融機関に対して信用状を発行する制度です。

これにより、海外現地法人が、現地での円滑な資金調達が可能になります。

その他

その他、各種制度融資の利用や、補助金での加点等のメリットがあります。
代表的なところでいうと、経営革新計画の承認は「ものづくり補助金」の加点項目にもなります。

経営革新計画の審査ポイント

経営革新計画の審査ポイントは以下の2つです。

①新規性

既存事業と比較して、どこが新しい事業であるのかが記載されているか。
他社と比較した場合の違いは何か。

②実現性

いつ・どこで・何を・どのように取り組むかということが記載されているか。
人・モノ・カネの経営資源は手当てされているか。
仕入先、販売先や顧客ニーズの把握など売上計画は適当であるか。

これらのポイントを中心に、審査が行われます。

まとめ

いかがだったでしょうか。
今回は、経営革新計画について紹介させて頂きました。

補助金の加点や、信用保証協会の保証枠の拡大など、
様々なメリットがありますので、ぜひご参考になれば幸いです。

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