こんにちは!
行政書士の越阪部です。

今回は、「経営者保障」について紹介させて頂きます。

経営者保障制度の見直し

中小企業融資 経営者の「個人保証」制度見直しへ

元々この記事を書こうと思ったきっかけとして、
11/1に金融庁が「個人保証」の制度を見直すことを発表しました。

長期的な流れとしては、
経営者保障に過度に依存した融資は無くしていくというのが国の方針です。

経営者保障とは

中小企業が金融機関から融資を受ける際には、経営者が連帯保証人となることも少なくありません。これを「経営者保障」といいます。

あくまでも法人と個人は別人格なのですが、いざ法人(会社)が融資を返せなくなったときに、代わりに社長個人から返済して貰おうという制度です。

金融庁によると、経営者保障付の融資の割合は以下の通りとなっています。

個人保証による新規融資の割合(2021年度)

・政府系金融機関平均:53%

・民間金融機関平均:70%

・信用保証協会平均:71%

公庫では新創業融資やマル経融資をはじめ、
経営者保障を取らない融資も広く行われていますが、
民間の金融機関では70%と、かなり多くの融資が経営者保障に依存しているのが分かります。

経営者保障は今後どうなっていく?

この経営者保障が、最近、金融庁の間でも問題視されています。

経営者保障があることで、「借金を引き継いでまで会社を承継したくない」、「多額の融資を受けて創業をするのは怖い」というように、事業承継や創業の足かせとなるケースも多くなりました。

金融庁は「これでは経済が活発にならない」と問題視し、
過度に経営者保障に依存した融資姿勢を見直していく方針です。

そんな中、2022年11月1日、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の改正案が発表されました。
今回の見直しで検討された案としては、

「経営者保証を取る場合には、保証契約の形式的な内容にとどまらず、保証の法的効果とリスクについて、実際に保証債務を履行せざるを得ないといった最悪のシナリオを想定した説明を行うこと。また、保証人に対し説明をした旨を確認し、その結果等を書面又は電子的方法で記録すること。」

といった内容が挙げられます。
金融機関が経営者に対して説明する義務を課すことで、経営者保障を実質的に制限していくことが狙いです。

経営者保障を外すにはどうする?

経営者保障については、「経営者保障に関するガイドライン」に保証が不要になるための3つの要件が示されています。3つ全てクリアするのがベストですが、一部を満たすことで無保証融資を受けられたり、既存融資から保証を外すことを求めることができます。

経営者保障に関するガイドラインの3要件

①資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている
②財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である
③金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている

今回の見直し案では、この3要件に関して、保証人に対して丁寧かつ具体的に説明を行い、保証人に対して下記a.b.の事項を踏まえた説明をした旨を確認し、その結果等を書面又は電子的方法で記録することを求める内容となっています。

a.どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか、個別具体の内容
b.どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか、個別具体の内容

金融機関は、今後は社長に対して経営者保障に関するガイドラインの要件をきちんと説明し、経営者保障を取る際にはどこが不十分なのか・どこを改善すれば経営者保障が外れるのかについて説明が必要になるかもしれません。

このような方策により、経営者保障を実質的に制限し、事業承継や創業を活発にしていこうというのがここ数年の流れです。

とはいえ、金融機関としても、人から預かった預金を原資として融資している以上、なんでもかんでも経営者保障を外して貸し倒れを作るわけにはいきません。

今後も、経営者保障の判断基準の核となるのは、先ほど述べたガイドラインの3要件となります。

経営者保障に関するガイドラインの3要件

①資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている
②財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である
③金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている

なかなかすぐには改善できない内容もありますが、これら要件を満たせば、開始やとしての体力や資金調達力も上がります。経営者保障を外したい社長は、ぜひこれら3要件を満たせるよう経営改善に努めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか。
今回は、経営者保障について紹介させて頂きました。

特に、後半でお伝えした「経営者保障のガイドライン」は知っておくと良いです。
「経営者保障を外す」ということをゴールに、財務改善に取り組んでみても良いと思います。

当事務所のメールマガジンでは、経営に必要な財務や資金調達の情報を配信しています。
週1回の配信で数字に強い社長になれますので、お気軽にご登録ください!

https://osagyousei.com/mail-magazine/